香月流について


香月流は美的観念は勿論大切にいたしますが、それよりも精神的なものを第一義に考えたいのであります。 明るい楽しい人間的な社会生活を営むのにいろいろな教養が必要であります。
宗教的、哲学的教養よって社会生活に必要な欠くべからざる道徳が自ら生まれ、 芸術的教養よって人間的な美しい心が育つものであります。特に生け花や園芸などは大自然の神秘、 清らかさ純真などを教えてくれます。雄津なる大樹は雄弁に語り、美しい花々のささやき、 可憐な草花の姿、優しい言葉使いや行いが日常生活に生かされた時その人の人柄の床しさが 現われて参ります。自然を彩る花は天、地、陰、陽の 和合にしたがって生きる宇宙の真理に 逆かろうては美しくは咲きません。人間も麗しい家庭生活があって社会が成り立つので 一人一人が人生の正しい生き方をしなければなりません。
香月流はこの様な考え方で生け花を習い生活に生かして行くことを実践しております。

生 け 花 の 歴 史


生け花には約千年以上の歴史があります。 大昔神仏に花を捧げる供華の精神から始まった物であります。

池坊の道祖は遺隋使で有名な小野妹子と云う方であります。 妹子は功成り名を遂げて専務と写し、 山城 (今の京都)の六角堂に一坊を庵して聖徳太子の守護仏であった六臂正如意輸観世音を本尊として 太子の聖徳を偲び供華の道にいそしみました。

池坊第一世が専務宗匠であります。 歴代の宗匠の手によって研究を重ねられつつ二十八世専応宗匠によって投入(後の生花)が始めて 試みられました。

時代の変遷と共に花型が変わって参りましたが、生け花の神髄の精神は一貫して変わる事がありません。

修 養 の こ と ば


  • 此の稿は生け花について知って頂きたい事。
  • 花を通じて沢山の事を知って頂きたい事。
  • 人として行わなければならない事。
  • 入門した時の心境を生涯忘れない事。
  • 妻の明るい性格があなたの家庭を幸福にし運命を好転せしめ家庭全体を健康にするところの 「 一大資源であります 」
  • 生け花を始められる人は、まず、「 和を願う心 」 「 自然に従う心 」 「 積極的な前進 」 という心構えをして頂きます。 この中でも和を願う心が第一であります。
  • 花を生ける時の心の準備。 心静かに雑念を払い無我の境地となり、花材の心と一体となり自然に則した姿を思い鋏をもちます。水盤に水を入れる時は草木を養う大切な物ですから、まごころを持って入れましょう。
  • 地に反発しない和らかな暖かい明るさが花にある。この花のようにと願う心になりましょう。

生 け 花 の知識


草木には、陸物、水物、実物、葉物、つる物、まっすぐの物、曲った物、つた物、 沢山生けた方が美しい物、少なく生けた方がよい物、等限りなく種類があります。 このような草木を生けるために生け花に三つの花形が定められています。
  • 花はそのまま美しい、しかも何ら権力を持たず無心にひきつける尊い力を持っています。
  • 花と盛花を、投入とのことについて比べてみますと、 盛花、投入は草木を素材としてもっとくずした或いは気易い生け方で、美しさを貴び、 個性的な美を主眼を致します。
  • 生け花は和を根本精神とします。和とは調和の事です。大自然は調 和であり調和のあるものはすべて美しいこの和を表するものが生け花であります。
  • 咲く花は地上で一番美しいものであります。あらゆる階級の人々を平等に楽しませ、 喜ばせてくれます。花は秩序正しく咲き決して何物も、求めない花は只「和」であります。
  • 私達の幸福な生き方は何が原因であるかと申しますと一から十まで心の問題であります。
1.生きるも心。
2.仕事も心。
3.実行も心。
4.思い切るも心。
5.勇敢に断行するも心。
6.努力するも心。
7.相手を思いやるも心。
8.天地一切のものに感謝するも心。